2010年8月アーカイブ

家庭内でやけどをして病院に搬送される高齢者が増えている。高齢者のやけどは対応が遅れがちで重症化しやすく、死に至るケースも少なくない。身体能力が衰える中、日常の危険を防ぐにはどのような対策が必要なのだろうか。やけどの基本知識と共に押さえたい。【八田浩輔】

 神奈川県内の女性(89)が自宅の風呂場であげた大声に、驚いた家族が駆け付けた。女性は空の浴槽にしゃがみ込み、蛇口からは熱湯が流れ続けていた。搬送先の病院で、背中から足にかけて皮膚の中間層(真皮)に損傷が広がる「2度」のやけどを確認。当初は軟こうで治療したが、その後やけどは皮膚深部に達し、皮膚移植を行った。

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 熱傷(やけど)が専門の横浜市立大付属病院高度救命救急センターの春成(はるなり)伸之准教授(47)は「一般的に高齢者のやけどは重篤になるという危険性が認識されていない」と話す。高齢者の皮膚は加齢で薄くなり、熱が伝わりやすいため、やけどが必然的に深くなる。逃げるのが遅れたり、心臓や肺が弱い場合は治療に耐えられない場合もある。また、やけど自体は改善しても、必要な介護レベルが上がるなど多くの場合で日常生活への影響は避けられない。

 春成さんは「やけどの部位の面積以上に、年齢が生死を決めていると言っても過言ではない」と指摘し、これを「熱傷予後指数」と呼ばれる指標で説明する。やけどは深さによって浅い順に1~3度に分けられるが、同指数は2~3度のやけどの範囲(体表面積比)に年齢を足したものだ。過去の症例から、同指数が100を超すと、死に至るケースが一気に増す。単純な例を示すと、70歳の人は、3度のやけど範囲が全身の30%未満であれば助かるが、90歳なら10%未満でないと助からない可能性が高い、といった具合だ。

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 危険は日常に潜んでいる。高齢になるほど、生活する時間の長い住宅でけがをしやすい傾向を示すデータがある。国民生活センターが03~07年度の5年間で、全国20カ所の病院から集めた事故情報2万1860件を分析したところ、65歳以上の約63%が、住宅でけがをする事故に遭遇していた。その割合は20~65歳未満と比較して10ポイント高く、死亡事故のうち、原因の4分の3を占めたのがやけどだった。

 日常生活でやけどにつながりやすい特徴や共通点は何だろうか。国内ではやけどの詳しい原因や予後に関する長期かつ大規模な統計はなく、搬送先の施設ごとの調査に依存しているのが現状だ。

 そこで、春成さんらのチームは、横浜市内5区の介護事業所のケアマネジャーや民生委員など約100人を対象に高齢者の生活実態調査をした。やけどの危険を感じた場面を尋ねたところ、「ストーブの火を付けたまま給油」「やかんの火を付けたまま忘れる」など物忘れや不注意に起因する傾向が強いことが分かった。さらに「手に震えがあるがマッチで火を付ける」など、長年刻み込まれた生活習慣に身体機能の低下が重なる複合的な要因も浮かび上がった。

 同病院では、調査結果を基にしたパンフレットを作成し、地域の介護事業所などでケアマネジャーや施設利用者に向けた啓発活動に努めている。提案する具体的な対策は、火を使わせない▽電力で温めるIHに切り替える▽身長に合わせてガスコンロの高さを低くする▽入浴中の追いだきはしない--などシンプルなものだ。看護師のグループは、火の扱いなどに注意を促す歌に簡単な体操を組み合わせて、やけど予防を印象付けるDVDを作成し、地域講習会などで配布を始めた。

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 学会も動き始めた。6月に横浜市で開かれた日本熱傷学会総会・学術集会では、高齢者のやけどがメーンテーマの一つに選ばれ、重症熱傷の全国データベース化に向けたワークショップも開かれた。

 だが、リスクが高い独居の高齢者に向けたアプローチをどうするかなど、課題は山積している。春成さんは「予防に勝る治療はないが、医療者の間でも、やけど予防に対する関心が必ずしも高いとは言えない。標準的な予防策を作り、効果的に広めないと高齢者のやけどの数は減らない」と指摘。学会や行政を超えた取り組みの必要性を強調する。

 

※毎日新聞 2010年7月9日 東京朝刊

山口市の助産師(43)が、出産を担当した同市の女児に、厚生労働省が指針で与えるよう促しているビタミンKを与えず、代わりに「自然治癒力を促す」という錠剤を与え、この女児は生後2か月で死亡していたことが分かった。

 助産師は自然療法の普及に取り組む団体に所属しており、錠剤はこの団体が推奨するものだった。母親(33)は助産師を相手取り、約5640万円の損害賠償訴訟を山口地裁に起こした。

 母親らによると、女児は昨年8月3日に自宅で生まれ、母乳のみで育てたが、生後約1か月頃に嘔吐(おうと)し、山口県宇部市の病院でビタミンK欠乏性出血症と診断され、10月16日に呼吸不全で死亡した。

 新生児や乳児は血液凝固を補助するビタミンKを十分生成できないことがあるため、厚労省は出生直後と生後1週間、同1か月の計3回、ビタミンKを経口投与するよう指針で促し、特に母乳で育てる場合は発症の危険が高いため投与は必須としている。

 しかし、母親によると、助産師は最初の2回、ビタミンKを投与せずに錠剤を与え、母親にこれを伝えていなかった。3回目の時に「ビタミンKの代わりに(錠剤を)飲ませる」と説明したという。

 助産師が所属する団体は「自らの力で治癒に導く自然療法」をうたい、錠剤について「植物や鉱物などを希釈した液体を小さな砂糖の玉にしみこませたもの。適合すれば自然治癒力が揺り動かされ、体が良い方向へと向かう」と説明している。日本助産師会(東京)によると、助産師はビタミンKを投与しなかったことを認めているという。助産師は読売新聞の取材に対し、「今回のことは何も話せない。今は助産師の活動を自粛している」としている。

 ビタミンK欠乏性出血症 血液凝固因子をつくるビタミンKが不足して頭蓋(ずがい)内や消化管に出血を起こす病気。母乳はビタミンKの含有量が少ない場合がある。

 

※(2010年7月9日 読売新聞)

神奈川県は8日、乳幼児を中心に夏風邪の一種「ヘルパンギーナ」(水疱(すいほう)性咽頭(いんとう)炎)が県内で流行し、国の警戒レベルに達したと発表した。注意を呼びかけている。

 県健康危機管理課によると、6月28日から1週間の県指定医療機関209か所の平均患者数が6・55人となり、警報レベル(6人)を超えた。県内で警戒レベルを超えるのは2007年以来。

 ヘルパンギーナは、ウイルスが原因の感染症で、のどの奥に水疱ができ、高熱、食欲不振、嘔吐(おうと)などの症状を引き起こす。乳幼児を中心に初夏から秋にかけて流行しやすい。

 同課では「うがいや手洗いをして予防してほしい」と呼びかけている。

 

※(2010年7月9日 読売新聞)

 経済的な理由で、患者が治療を中断せざるを得なかった事例が、宮城県内の5割以上の医療機関であったことが、県保険医協会(北村龍男理事長)の調査で分かった。

 経済情勢の悪化による失業者の増加などで、医療費に苦しむ患者の姿が浮き彫りとなった。同協会は「症状が悪化し、命を落とすなど、取り返しのつかない事態につながりかねない」として、国に負担軽減策を求める方針だ。

 調査は6月、同協会に加盟する医療機関715施設に半年間の状況に関する質問について郵送、うち118施設(16・5%)から回答があった。

 それによると、患者の経済的な事情で、治療を中断した事例は61施設であり、患者から検査や治療、投薬を断られたことがあるのは62施設。医療費の未払いを抱える医療機関も65施設で確認された。

 中断した病名で多かったのが、長期の治療が必要な糖尿病や高血圧、高脂血症など。中断は、入院や検査設備が整い治療項目が多く、負担が重くなりがちな病院で目立った。

 治療を中断した医療機関からは、失業するなどして保険料の支払いが困難となり、「無保険者の受診が増えている」や「『支払いを給料日まで待ってほしい』と言われた」との声が寄せられた。

 同協会は「経済的な理由で医療が受けられないことはあってはならない。負担を気にせず、いつでも安心して医療が受けられるようにすべき」と事態を重くみている。

 

※(2010年7月9日 読売新聞)

 埼玉県幸手市の日本保健医療大で17日、動物を使って患者らに心身の回復などを促す「アニマルセラピー」の体験授業が行われた。

 市が誘致した4年制の同大は4月に開校し、学生は看護師などを目指している。新潟大大学院などで動物介在看護を研究してきた熊坂隆行准教授(36)が、「看護現場にもアニマルセラピーの導入を」とゼミの授業に取り入れた。大学の授業で扱うのは、全国でも珍しいという。

 体育館で行われた授業には、約50人の学生が参加。講師の山梨セラピードッグクラブ(山梨県)のメンバーが、セラピー犬の扱い方などを実演した後、学生は患者役になってふれあい、癒やし効果などを体験した。

 1年生の戸辺香里さん(18)と鈴木暁理さん(18)は「なでるだけで癒やされる」「患者さんの看護にもいい効果があると思う」と笑顔。熊坂准教授は「来年度には別の動物も扱い、年間通じた講座にしたい」と話していた

 

※(2010年6月18日  読売新聞)

石狩】市民の健康づくりを図ろうと、市は初の「健康づくり計画」を策定する。7月中旬にも学識経験者や保健医療団体関係者ら15人で構成する「健康づくり推進協議会」を立ち上げる。11月末までに原案をつくり、市民や医療関係者らの意見も踏まえ、2011年度スタートの5カ年計画とする方針だ。

 糖尿病やメタボリック症候群(内臓脂肪症候群)など生活習慣に由来する患者が増えている一方、死亡原因もがんや心疾患など約6割が生活習慣病を起因としていることから、病気予防に主眼を置いた計画を策定することにした。

 基本的視点として《1》ライフステージに応じた健康づくり《2》市民主体の健康づくり《3》健康づくり支援のための環境づくり《4》「元気」を増やす健康づくり-を掲げた。このうちライフステージに応じた健康づくりでは、妊娠から出産、子供、働き盛りの市民、高齢者の各段階で、食育やがん検診、特定健診、心の健康づくり、認知症対策などの施策を行う意向だ。

 また、健康づくりを支援するため、情報発信や啓発活動、スポーツ推進、地域医療充実などの施策で環境を整える。市は健康づくり推進協議会と連携しながら、横断的な庁内組織で原案を作成する。

 

※北海道新聞 2010年6月23日

厚生労働省は15日、2007年度から5カ年計画で進めているがん対策推進基本計画の進み具合について、中間報告書を発表した。専門的な治療が行える拠点病院の数や放射線治療機器の設置など、ハード面の目標はおおむね達成できたが、検診受診率の50%達成はかなり難しいとの見方だ。

 厚労省は、患者や医師らでつくるがん対策推進協議会の意見も聞きながら、報告書をまとめた。

 がん検診は5年以内に受診率50%の目標を立てたが、現段階では20~30%台にとどまっており、目標達成は厳しい状況だとした。今後、個人への通知など受診勧奨に力を入れるという。3年以内に未成年者の喫煙率を0%にするという目標も、男子高校3年生の喫煙率は12.8%に上っており、さらなる禁煙対策が必要とした。

 がん拠点病院は4月現在、全国に377病院あり、数の上では整備目標を上回った。院内がん登録も全病院で実施しているが、協議会からは医療の質の評価を求める声や、がん登録の質の担保、情報公開を求める声などの意見が寄せられた。

 

※朝日新聞 2010年6月16日

日本脳ドック学会は、ガイドラインに沿った標準的な検査が可能な134カ所の医療機関を初めて認定した。統一基準で施設を評価することで、病気の見落としや、必要のない予防手術による後遺症を防ぐことなどが狙い。

 脳ドックはCT(コンピューター断層撮影)やMRA(磁気共鳴血管撮影)といった画像検査技術の進歩に伴い、国内では1980年代後半に始まった。くも膜下出血や脳梗塞(こうそく)などが起こる危険性を事前に知り、予防につなげる目的で広がった。

 昨夏設立された学会の施設認定委員会が、応募した204施設から134施設を書類で選んだ。ガイドラインに沿った検査を実施していることや、年間50人以上が受診していることなどを基準にした。端和夫・施設認定委員長は「医療機関を選ぶ際の参考にしてほしい」と話す。

 学会によると、全国で約600以上の施設が脳ドックを実施している。必ずしも摘出が必要でない小さな動脈瘤(りゅう)が見つかった人が、取り除く手術を勧められて受け、医療事故で死亡したケースなどがあり、検査の質のばらつきが指摘されていた。

 認定施設は18日に山形市で始まる日本脳ドック学会総会で報告されるほか、学会のホームページ(http://www.snh.or.jp/jsbd /nintei_list.html)で確認できる

 

※朝日新聞 2010年6月16日

プチ整形で簡単にしわが取れると人気の「ボトックス注射」の9割以上で未承認薬が使われているとして、社団法人・日本美容医療協会が注意を促す通知を医師に流し、患者向けの無料相談に乗り出した。未承認薬は中国、韓国などから輸入されているが、成分や安全性ははっきりしていない。ボトックス治療による健康被害も国内外で報告されている。

 ボトックスは、ボツリヌス菌の毒素を成分とする筋弛緩(しかん)剤。しわを防ぐ効果が3~4カ月間、期待できると広まった。国内では昨年2月、65歳未満の成人で眉間(みけん)の表情じわをとることを効能とする「ボトックスビスタ」が承認発売され、1瓶4万円台(2~4人分程度)で流通している。

 しかし、承認以前から個人輸入で使われていた薬が、いまだに承認薬の数分の1の価格で流通している。承認薬を販売するグラクソ・スミスクラインによると、しわ取り効果をうたう薬剤は年間5万本以上が輸入されており、承認薬のシェアは数%にとどまるという。使用薬剤の多くは中国、韓国などからの輸入薬で一部、本国で承認されているが、国内では成分や安全性を審査されていない。

 グラクソや同協会は薬剤の流通量から、国内の利用者は10万人以上と推定する。

 未承認薬については、緊急性が高い場合や国内に代替品が流通していない場合に限り、医師が個人輸入できる。ボトックスは医師の裁量で、美容目的で広く使われているのが実態という。

 使用された薬剤は不明だが、ボトックス治療による健康被害は国内外で報告されている。美容外科の専門医らでつくる日本美容医療協会には、「両眉がつり上がり、目が下にたれてしまった」「呼吸困難が続いている」などの相談が年間約40件寄せられているという。国民生活センターにも「額から鼻の上部まで腫れた」「まぶたが動かなくなった」などの苦情が寄せられているという。

 米国では、中国製品を使った患者が呼吸困難を起こすなどの事故が報告されている。承認薬でも副作用はあるが、未承認薬は、薬事法に基づき販売されている承認薬に比べよりリスクがあると、厚生労働省も注意を促している。

 同協会理事の大森喜太郎医師は「治療費が1回数千円など、安さを売りにしている所は、未承認薬を使っている可能性が高い。患者は医師に、どの薬を使っているのか確認してから治療を受けて欲しい」と話している。

 無料相談は、同協会のウェブサイト(http://www.jaam.or.jp/)で受け付ける。グラクソは、治療の講習を受けた約1600人の医師の所属医療機関をサイト(http://shiwatori.jp/search/index.html)で公表している

 

※朝日新聞 2010年6月17日

地域精神保健医療の体制を話し合う厚生労働省の検討チームは17日、医療や福祉の専門家チームが精神疾患患者の自宅を訪ね、治療や生活の相談に乗る訪問支援を本格導入することで合意した。重症患者の治療が長期入院に偏っている現状を改め、地域で患者を支える体制に大きく転換することになる。

 検討チームは、人材を育てて医師や看護師らによる多職種チームが担う▽医療機関はベッド削減に取り組む▽住まいの整備を併せて行う、などの方向で一致した。厚労省は来年度予算の概算要求に関連の費用を盛り込む方針。

 在宅の精神疾患患者を専門家らが支える活動は欧米で「アウトリーチ」と呼ばれ、日本にもすでに12チームある。そのうちの一つは検討チーム委員の精神科医、高木俊介さんが6年前に全国に先駆け京都市を拠点にして始めた。医師や看護師、精神保健福祉士ら15人が24時間態勢で患者約120人を回る。

 統合失調症で20年以上入退院を繰り返した男性(47)は3年前に一人暮らしを始め、高木さんらの支援を受ける。週4回、看護師らが訪ね、生活上の悩みや服薬の相談に乗る。スタッフは携帯電話の番号を伝え、緊急時に出動することも。男性は「家で勉強できてうれしい」と話す。

 高木さんによると、チームの経費は年間約1億円。公的医療保険の診療報酬でまかなえる。「入院治療だと3倍はかかる」と指摘する。

 日本では精神科に33万人が入院し、入院患者の4分の1を占める。平均在院日数は313日、約4割の人が5年以上入院している。欧米では入院治療は人権上の問題もあるとして訪問支援を積極的に導入している。

 厚労省は6年前に「入院から地域への移行」を宣言したが、実現は遅れている。検討チームの会合に招かれた元患者は入退院を繰り返した体験について、「自尊心を100%失った」と訴えた。鉄格子がはめられた部屋に閉じこめられ、売店にも行けなかったという

 

※朝日新聞 2010年6月17日

一般医薬品(大衆薬)のうち、副作用のリスクが高い第1類医薬品を販売する際、薬の詳細な説明など薬事法に定められた手順を守っていない店舗が約半数に上ることが18日、厚生労働省の調査でわかった。昨年の改正薬事法の施行で新たな販売方法が定められたが、同省は「まだ制度が十分定着していない」として、都道府県に店舗を指導するよう求めた。

 今年1~3月上旬、委託を受けた民間調査会社の調査員が一般客を装い、全国3991の薬局・薬店を訪ねて調査した。

 胃腸薬や発毛剤などの第1類を扱う1949の薬局・薬店のうち、「購入前に文書を用いて詳細な説明があった」のは50.5%、「購入前に文書を渡されたが詳細な説明はなかった」が7.1%、「口頭のみでの説明だった」は22.5%、「説明自体なかった」も19.8%に上った。

 同法はリスクの低いうがい薬や目薬などの第3類医薬品のみ郵送販売を認めている。だが、インターネットの検索サイトで「通信販売」「医薬品」で検索した10件のうち、6件で第1類、第2類医薬品が購入できたという。 

 

※朝日新聞 2010年6月18日

胃がんとのかかわりが深いとされるヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の除菌治療について、厚生労働省は18日、保険適用の対象範囲を広げる通知を出した。これまでは胃潰瘍(かいよう)と十二指腸潰瘍の患者に限られていたが、除菌治療に使う15種類の医薬品に、新たな効能・効果が承認されたのに伴うもの。

 新たに適用されるのは、悪性リンパ腫の「胃MALTリンパ腫」や難病の「特発性血小板減少性紫斑病」の患者と早期胃がんに対する内視鏡の治療を受けた患者。

 ピロリ菌は、胃の粘膜にいて、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を引き起こすとされる。日本ヘリコバクター学会は、薬による除菌治療が胃がんの予防に役立つとして、保険適用の拡大を厚労省に要望していた。

 従来は除菌前の検査や、薬による除菌治療に公的な医療保険が使えるのは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の患者に限定されていた。

 

※朝日新聞 2010年6月19日

米食品医薬品局(FDA)は17日、輸血用の血液などの米国内最大手の米赤十字社に1600万ドル(約15億円)の罰金を科した、と発表した。血液の採取や、製品加工に連邦法違反などがあったとしている。

 米赤十字社は、血液から採った赤血球や血小板などを病院向けに販売している。FDAによると、今回見つかった違反で加工品の品質が損なわれる可能性があり、昨年10月、米赤十字社に書簡を送って改善を求めていた。ただ、問題発生を防ぐ措置も取られているため、安全性には問題はないと考えられるとしている。

 FDAは2003年以降、米赤十字社へ同様の書簡を12回送っており、今回の分を除いて2100万ドル(約19億円)以上の罰金を科している。 

 

※朝日新聞 2010年6月19日

国内製薬最大手の武田薬品工業は19日、昨年の新型インフルエンザの世界的流行を受け、インフルワクチン事業の復活を検討していることを明らかにした。1994年に一度撤退したが、国内の生産能力不足や海外ワクチン市場の拡大を受けて判断した。第一三共も参入を表明しており、中小メーカーに頼ってきた環境が変わりそうだ。

 山口県光市の自社工場に近く実験設備を設置し、昨年の豚由来のインフル流行の前から懸念されてきた強毒性の鳥インフルを含めた研究を始める。

 政府は2013年度をめどに、半年で国民全員分のワクチンが国内製造できる体制の確立を目指している。武田もこうした枠組みの補助金を活用しつつ、数年内に本格生産を始める意向だ。第一三共も提携先の北里研究所(東京都)のインフルワクチン生産に協力、強化するなどの形で参入を検討している。

 インフルワクチン生産は予防接種が任意化し、需要が減ったために90年代半ば以降に武田などが撤退。現在の国内インフルワクチンメーカーは北里や阪大微生物病研究会(大阪府)など4機関のみで、小規模で国の計画に沿った生産しかしておらず、昨年の大流行時には用意したワクチンの6割を輸入に頼った。 

 

※朝日新聞 2010年6月20日

体脂肪計や尿糖計などユニークな商品の開発で知られるタニタ(本社・東京)が、今度は、人の眠りの状態をはかる「睡眠計」を開発した。消費カロリーを詳しく測る「活動量計」も、小型にした2号機を今月初めから売り出しており、健康志向の家庭の需要をがっちりつかむ戦略だ。

 「睡眠計」は、布団の下に敷き、組み込んだ圧力センサーで、寝ている間に、脈拍や呼吸の数、体の動きを測定。専門機関の検査データをもとに眠りの深さを判定し、時系列データや点数化した総合評価を示す。日々の記録をグラフで表示し、眠りの傾向を把握することもできるという。

 発売は6月末で、定価は税込み3万6750円。一般家庭のほか、医療・介護施設、運転手の健康管理に使いたいという運輸業界向けに、初年度1万台の販売を見込む。

 一方、「活動量計」は、携帯電話などに使われる3軸加速度センサーで、体の動きを細かく検知。消費カロリーをはかる。胸ポケットなどに取り付けて使う。昨年4月に売り出した1号機が、目標の倍以上の8万6千台売れた。このため、今月1日、小型化し、外装にアルミを使ってデザインもよくした2号機を発売した。店頭の想定価格は8千円程度で、年6万台の販売を計画している。

 タニタは老舗(しにせ)の計測器具メーカー。約50年前に体重計や食品用はかりを開発し、1992年に世界で初めて体脂肪計を発売した。

 

※朝日新聞 2010年6月20日

高校生の喫煙経験率が2004年の約14%から5年間で半分以下の約6%に減っていることが、岐阜薬科大、兵庫教育大などによる3万人規模の全国調査でわかった。喫煙の害への認識が社会全体で強まっていることが反映しているようだ。飲酒や違法薬物使用の習慣も減っていた。

 勝野真吾・岐阜薬科大学長(社会薬学)らが昨年10月から今年1月にかけて、全国から抽出した高校にアンケートした。59校の約2万9千人から回答があり、04年と06年の各約4万人の調査と比べた。

 すると、調査までの1年間に喫煙経験があると答えた高校生の割合は6.4%で、04年の14.4%、06年の10.7%から大きく減少。飲酒経験の割合は43.1%で、こちらも04年の62.8%、06年の55.5%から減っていた。

 違法薬物の経験率は04年の1.3%が06年には1.6%に増えたが、今回は0.74%に減少。シンナーや大麻の使用を誘われた経験も04年、06年に比べ半減していた。

 英米独仏など欧米の同年代を対象にした同様の調査では、大麻の経験だけで20%を超えており、日本は薬物乱用の予防対策が非常にうまくいっているという。

 勝野さんは「社会全体が喫煙に対し厳しくなっていることや、教育やキャンペーンが効果をあげていると考えられる。だが、経験率が減って社会の関心が薄れると再び増える傾向があり、油断はできない」と話す

 

※朝日新聞 2010年6月23日


肺がんの治療薬「イレッサ」を使った治療法が、特定のタイプの患者に対して、従来の抗がん剤治療に比べ大きく効果があることが、東北大など国内約50施設で行われた臨床試験でわかった。このタイプは日本人に多く、とくに女性患者に多い。遺伝子診断で対象者を事前に絞れるため、患者はより効果の高い治療を受けられるようになりそうだ。

 イレッサは2002年に、世界に先駆けて日本で初めて承認された。アジア人、とくに喫煙との関連が低い女性の肺腺がん患者によく効くと指摘される一方で、承認直後は副作用の間質性肺炎による死亡者が相次ぎ、社会問題となっていた。

 イレッサは、がんの増殖にかかわるEGFRと呼ばれる遺伝子に変異がある進行がん患者に効果があると考えられていた。研究班は、この遺伝子に変異がある進行性の肺がん患者230人を、最初からイレッサだけを使う患者と、従来の化学療法を受ける患者に分けた。腫瘍(しゅよう)が大きくならずに安定している期間を比べると、イレッサを使った患者は平均10.8カ月間、化学療法の患者は5.4カ月間で、大きく差が出た。生存期間はそれぞれ30.5カ月、23.6カ月だったが、患者数が少なく、統計的に有意な差は出なかった。

 日本人の肺がん患者は、約3割にEGFR変異があり、50歳以下の女性に限ると半数以上にのぼる。ただ、日本肺癌(がん)学会が05年に作成した指針では、イレッサを治療の最初から使うことは推奨されておらず、現在改定を進めているところだ。研究班は「QOL(生活の質)の点からも、今後は進行性肺がんの第一選択薬となる」と指摘する。

 イレッサは重い副作用で死亡することがあるため、その使い方が課題となってきた。今回の結果を受け、遺伝子診断を徹底して対象者を絞りこむことで、効率的に使えるようになる可能性がある。

 24日付の米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン電子版で論文を発表する

 

※朝日新聞 2010年6月24日

健康に良い印象がある「オーガニック(有機栽培)」食品を食べる習慣の人は肥満にむしろご注意を――こんな論文を、米ミシガン大の研究チームが米専門誌6月号に発表する。オーガニックは、必ずしも低カロリーを意味しないのにそう思いこんだり、減量のための運動をやめても構わないと考えたりしがちだからという。

 研究チームは学生114人に、通常のクッキーと有機栽培の小麦粉や砂糖で製造された「オーガニック版」の両方の栄養成分表示を見せ、カロリーの大きさを7段階で評価させた。すると、両製品のカロリー表示は同じなのにオーガニック版の評価は平均3.94点で、通常製品の5.17点より低かった。

 また、減量のため日課として夕食後に5キロほど走る20歳の女子学生を想定、デザートの内容を示して「今晩は走らなくてもいい」かを学生214人に評価させた。オーガニックデザートは、デザートを食べない場合の評価とほぼ同じで、通常デザートより「走らなくてもいい」と考える傾向が強かった。

 研究チームのジョナソン・シュルト研究員は「オーガニックという言葉で、食事や運動に関する判断が惑わされている可能性がある」と警告している。 

 

※朝日新聞 2010年6月24日

iPS細胞(人工多能性幹細胞)をマウスの体内に入れて血液のもとになる造血幹細胞を作り出し、それを別のマウスに移植して実際に血液を作らせることに東京大の研究チームが成功した。iPS細胞を体外で人工的に培養して作った従来の造血幹細胞は、生体に移植しても定着せず、血液を作り出せなかったという。白血病など血液の難病の治療に一歩近づく成果だ。

 チームの大学院生、鈴木奈穂さんによると、マウスの尾の細胞から作ったiPS細胞を、造血幹細胞への変化を促すホルモンなどとともにマウスに移植。約3カ月後に骨髄を調べたところ、iPS細胞が変化してできた造血幹細胞が確認され、正常に血液を作っていることも確認できた。

 iPS細胞が体内でさまざまな細胞に変化し、その中に含まれていた造血幹細胞が骨髄に移動したらしい。

 この造血幹細胞を取り出し、造血幹細胞を壊した別のマウスに移植したところ、同じように細胞が骨髄まで移動して、血液を作り出した。できた血液には白血球、赤血球を含め、すべての血液細胞が含まれていたという。鈴木さんたちはヒトのiPS細胞をマウスに移植し、同じ成果が出るかどうか研究中だ。

 チームの中内啓光教授によると、患者のiPS細胞から造血幹細胞を作り、白血病や再生不良性貧血といった血液の難病患者に移植すれば、骨髄移植に代わる治療法になると期待されている。だが、iPS細胞を体外で培養して作ったこれまでの造血幹細胞は、生体に移植しても骨髄でほとんど機能しないという。

 iPS細胞を生体に移植すると、造血幹細胞などのほかに腫瘍(しゅよう)もできるため、人間に直接移植するのは安全面から難しいが、中内教授は「人間の造血幹細胞をブタなどの体内で作って取り出し、安全性を確認したうえで人間に移植する手法が考えられる」と話している。

 

※朝日新聞 2010年6月27日

新型の豚インフルエンザの輸入ワクチンについて、厚生労働省は28日、ノバルティス社(スイス)と契約した輸入量の3割を解約することで合意したと発表した。購入契約を結んだ同社ともう1社への支払いは違約金も含めて約853億円に上るが、すでに納入されたワクチン6694万人分(健康な成人換算)の4分の1が使用期限切れで廃棄される見通しだ。

 解約するのは、ノ社から購入を予定していた2500万人分のうち、まだ国内に納入されていない838万人分。厚労省は解約にともない約92億円の違約金を支払う。

 一方、ノ社は今回の解約に際し、今後4年間に別の新型インフルによる世界的大流行(パンデミック)が起きた場合、4千万人分の供給枠を日本に対して確保することを約束したという。

 厚労省は昨年10月、新型インフルの流行に備え、ノ社やグラクソ・スミスクライン社(英、GSK)と計9900万人分の輸入契約(約1126億円)を結んだ。

 しかし感染が下火になりワクチンの需要が低下。ノ社が納入した1662万人分のうち、5月末で1301万人分の有効期限が切れて使用できなくなった。6月末には、残り361万人分の有効期限も切れ、廃棄されるという

 

※朝日新聞 2010年6月29日

唾液(だえき)に含まれる成分を調べ、がんを発見する技術を、慶応義塾大先端生命科学研究所(山形県鶴岡市)と米カリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)が共同で開発した。唾液の検査は、X線や血液の検査より患者の負担が小さく、実用化されれば症状が出にくいがんの早期発見につながる可能性がある。

 UCLAが、膵臓(すいぞう)がん、乳がん、口腔(こうくう)がん患者や健常者ら215人の唾液を集め、慶応大がそれぞれのがんに特徴的な物質を探した。検出された約500種類の糖やアミノ酸などのうち、膵臓がん患者はグルタミン酸の濃度が高いなど、健常者に比べ濃度が高かったり低かったりした54物質を特定した。

 これらの物質の特徴を組みあわせた解析で、がん患者を対象に、がんが判別できる精度を調べた。この結果、膵臓がんの99%、乳がんの95%、口腔がんの80%を見分けられた。年齢や性別、人種の差は、あまりなかった。

 膵臓がんは、早期段階では特徴的な症状がない上、他の臓器に囲まれているため見つけにくく、進行して見つかる場合が多い。実用化のためには、がんと診断されていない人を対象にした試験や、唾液の状態による影響、早期がんの患者にも有効なのかの確認など、さらにデータの蓄積と検証が必要になるという。

 この分野に詳しい静岡県立静岡がんセンター研究所の楠原正俊医師は「唾液のような液体に含まれる物質を一度に何百種類も分析できる方法自体が画期的。既存の血液による検査方法では早期がんの検出は難しい。早期がんが発見できるかに注目していきたい」と話す。

 研究結果は28日、オランダで開かれているメタボローム国際学会で発表される。

 

※朝日新聞 2010年6月29日

ヒマラヤやキリマンジャロなど標高3800メートル以上の山岳ツアーが人気を集めているため、日本登山医学会と旅行会社が、参加希望者の健康状態を事前にチェックする統一の診断基準作りに乗り出した。中高年を中心に年間5千人が参加しているが、死亡例が相次いでいるためだ。

 基準作りを始めたのは「登山者検診ネットワーク」。登山医学の専門家ら370人が参加する日本登山医学会と山岳ツアー専門旅行会社3社が加わっている。

 高山では、高山病や隠れた持病の悪化で、死亡する例が少なくない。登山に詳しい医師や旅行会社は、登山に耐えられる健康状態かどうか事前にチェックするよう求めているが、医師によって診断にばらつきがあるのが実情だ。

 新しく作る基準では、富士山より高い海外の山を目指す人を対象に、生活習慣病や喫煙の有無、病歴など13項目を点数化し、医師の診断の目安にしてもらうことを想定している。高血圧や糖尿病などの生活習慣病の状態が悪いと減点する。普段から運動している人は加点する。それぞれ2~4段階で判定する。合計の点数が一定水準以下なら参加の中止を勧める。

 検診ネットワークが全国16の病院・診療所でツアー参加希望者833人を試験的に判定した結果、心臓や肝臓などに持病がある60~81歳の6人には、危険として参加を中止してもらった。中止が望ましいとされた人も4人いた。

 標高3800メートル以上の登山やトレッキングに、日本から推計で年間約5千人が参加している。ネットワークによると、中高年が過半数を占め、06年に開通した中国・青海チベット鉄道などの影響で増加傾向にある。

 ヒマラヤ山脈をかかえたネパールの日本大使館の元医務官の報告によると、96~05年に日本人旅行者65人が死亡した。死因が判明しているだけで高山病が5人、心臓や肝臓の病気が5人いた。欧州の旅行者も合わせると高山病など病死は計65人に上るという。

 ネットワークに加わる旅行会社アルパインツアーサービスの黒川恵社長は「ツアーのリーダーも、統一された基準の健康データを持っていれば、万一の時に適切に対処しやすい」と話す

 

※朝日新聞 2010年7月5日

脳死になった15歳未満の子どもからの臓器提供を可能にする改正臓器移植法が17日に施行されるのを前に、移植関係学会合同委員会が5日、厚生労働省で開かれ、脳死下の肝臓移植の実施施設として新たに8病院を選んだ。これまでの施設と合わせて計21病院になる。

 新たな施設は、自治医大、国立成育医療研究センター、順天堂大、金沢大、三重大、京都府立医大、神戸大、熊本大。生体肝移植の実績をもとに選んだという。自治医大と成育医療研究センターは18歳未満だけを対象にする。

 膵臓(すいぞう)移植では独協医大と京都大を新たに選び、計18病院とした。

 心臓移植については心臓移植関連学会協議会の決定通り、15歳未満の移植は東京大、大阪大、国立循環器病研究センター。15歳以上は北海道大、埼玉医大国際医療センター、岡山大を加えた計9病院とした。 

 

※朝日新聞 2010/07/05

思い当たる原因がないのに突然始まった肩の痛み。そのうち治まると思っていたら、日ごとに痛みが強まり腕が動かなくなる。40歳代を過ぎるころから患者が増えるため、四十肩や五十肩と呼ばれる症状だ。

 聖路加国際病院の田崎篤・整形外科医幹によると、四十肩の痛みは、肩関節の腱板(けんばん)という部分の老化がもとで起きると考えられている。

 腱板は肩の関節を取り囲む筋肉を骨につなぐ先端部。老化が進むと腱板は傷みやすくなる。「主に腱板で起きた小さな傷から炎症が起こり、火事のように関節の周りに広がるのが四十肩だと考えられます」と田崎さんは話す。

    ◇

 重症の場合は、痛みが続く疼痛(とうつう)期(最初の1~3カ月)、痛みが治まってくるが腕が動きにくい拘縮(こうしゅく)期(3カ月~半年)、痛みが取れ腕も動くようになる回復期(半年~2年)という経過をたどる。

 初期の典型的な症状は夜間痛。横になるとじりじりと肩が痛み、早朝に痛さで目が覚めることもある。「我慢していると、不眠症やうつ病につながることも。夜間痛が始まったら、早めの受診が必要です」

 炎症が治まったのに、肩の関節が固まって動かなくなる拘縮肩にも、注意したい。骨のつなぎ目を包む関節包という組織が炎症で変化し、硬くなるのが原因。腕を動かせず、生活に大きな支障をきたす。

 同じ肩の痛みでも、他の異常が潜むことがある。年をとって腱板が切れる腱板断裂は自然に回復することがなく、腱板にカルシウムが沈着する石灰沈着性腱炎は、慢性化することがある。田崎さんは「四十肩と思いこんで見過ごすと、治療が大変になる」と注意を促す。

    ◇

 「肩の痛みは、放っておけば自然に治ると考えている人が多い」。城東整形外科(秋田市)の皆川洋至・診療部長も指摘する。皆川さんが以前講師を務めた秋田大の研究では、40歳以上の秋田県民770人のうち12%に肩痛の症状があったが、整形外科の受診率は20%にとどまった。四十肩は「とにかく動かしたほうがいい」との思いこみも強いという。

 痛みがあれば無理に動かさず、安静にする。生活に影響のない程度の痛みなら、市販の消炎鎮痛薬を服用し、痛みが強ければ、整形外科で抗炎症薬やステロイド剤の処方や注射を受けることが、炎症からの回復を早め、拘縮肩の防止につながる。

 痛みがひけば、拘縮をとる体操など運動療法を続けることが必要だ。「手術法の進歩で、完全に固まった重症の拘縮肩も腕の動きが改善できるようになった。あせらず根気強く治療や運動療法を続けることが大切」と田崎さんは話す。(林義則)

◆相談ナビ

 日本整形外科学会のウェブサイト内のコーナー「症状・病気をしらべる」(http://www.joa.or.jp/jp/public/sick/index.html)では五十肩などの症状や治療法が解説されている。腱板断裂などの治療では、内視鏡の一種を使い、患者の負担が小さい手術も広がってきている。肩関節鏡手術研究会のサイト(http://www.shoulder-scs.jp/index.html)で紹介されている。 

 

※朝日新聞 2010年7月1日

脂肪の塊を溶かす働きを持ったたんぱく質を、宮崎徹・東京大教授(疾患生命科学)らが発見し、9日付の米医学誌セル・メタボリズムに発表した。このたんぱく質を接種したマウスの体重は減った。研究チームは、肥満を抑えるやせ薬の候補として、新薬の開発に乗り出した。

 研究チームは99年、白血球の仲間であるマクロファージで作られているたんぱく質「AIM」を見つけた。その作用を調べようと、AIMを作れないように操作したマウスを観察すると、同じ量の餌を与えても通常のマウスより太ることに気付いた。

 そこで脂肪の貯蔵庫となる「脂肪細胞」にAIMを加えると、72時間後に脂肪の塊が溶けて4分の1の大きさになった。毎週1回0・1ミリグラムを接種した太めのマウス(体重40グラム)は、高カロリーの餌を食べても4週間後の体重は5グラム減ったが、未接種のマウスでは50グラムに増えた。AIMは、脂肪細胞の表面にある別のたんぱく質の力を借り細胞内に入り、脂肪細胞自体もできないように作用していたという。

 脂肪の塊を溶かす薬剤はすでに開発されているが、脳への悪影響が課題になっている。AIMは脂肪細胞とマクロファージのみに作用し、体内で作り出されるので副作用の心配もないとしている。

 宮崎教授は「脂肪細胞はエネルギーを貯蔵する役割もある。人でのAIMの働きを詳しく調べ、糖尿病や動脈硬化につながる肥満の解消に貢献したい」と話す

 

※毎日新聞 2010年6月9日 東京朝刊

女性の10人に1人がかかるといわれる「骨盤臓器脱」の悩みに専門医や元患者が応じる無料電話相談が21~30日、全国8カ所で行われる。梅田ガーデンシティ女性クリニックの竹山政美医師(女性泌尿器科)らは「一人で悩まず気軽に相談して」と呼び掛けている。

 骨盤臓器脱は、ぼうこうや直腸、子宮など骨盤内にある臓器が下がり、膣(ちつ)から体の外に出る病気。骨盤の底で膣を支える靱帯(じんたい)や筋膜が、妊娠や肥満、更年期などで弱くなって発症し、排尿トラブルや不快感がある。人工網(メッシュ)で骨盤底に膜を作る手術法が4月から保険対象になった。従来は子宮を摘出することが多く再発率も高かったが、メッシュを使った術式では子宮を保存でき、再発率も低い。しかし、恥ずかしくて医師の診断を受けられない人も多いという。

 電話相談は、元患者の団体「ひまわり会」(大阪市)と協力する専門医らが実施する

 

※毎日新聞 2010年6月11日 東京朝刊

コレステロール値が高く「高脂血症」と診断された人は、高脂血症ではない人に比べ、脳卒中で入院した際の死亡率が約半分と低かったとの分析結果を大櫛陽一・東海大医学部教授(医療統計学)らがまとめ、28日発表した。日本脳卒中学会の機関誌に論文が掲載された。

 社団法人「日本脳卒中協会」のデータを利用。98年から07年までに脳卒中で入院した患者約4万8000人について、高脂血症の有無と入院中の死亡率を分析した。

 脳卒中の一種の脳梗塞(こうそく)では、高脂血症のない約9900人の約5・5%が死亡した一方、入院時に高脂血症と診断されていた約2300人の死亡率は約2・4%だった。

 脳内出血では高脂血症のない約2800人の死亡率13・4%に対し、高脂血症の約440人は6・3%。クモ膜下出血では高脂血症のない約1300人の死亡率は約17・3%で、高脂血症の約110人は6・3%と約3分の1だった。

 日本動脈硬化学会の高脂血症の診断基準は「LDLコレステロールが血液1デシリットル中140ミリグラム以上」など。大櫛教授は「コレステロールは血管の材料になるので、高い方が血管の状態がよかったのだろう」と話している

 

※毎日新聞 2010年6月29日 東京朝刊

屋外で過ごす機会が増えるこれからの季節は「虫刺され」の心配も増える。「一口に虫刺されといっても、虫の種類や過去に刺された頻度などによって症状は千差万別」。夏秋優・兵庫医科大准教授(皮膚科)は「ハチはもちろん、蚊やブユでも炎症が強ければ皮膚科に相談を」と話す。【大場あい】

 虫刺されは、医療現場では虫刺症、虫咬(ちゅうこう)症などと呼ばれる。原因は、蚊やブユなどが血を吸うときに注入する血液の凝固を防ぐ物質▽ハチやムカデ、ドクガの幼虫(毛虫)などが攻撃や保身のために持つ有毒物質--に大別される。

 家庭でも頻繁に経験するのは、蚊やノミ、ブユに刺され、かゆみやぷつんと膨らんだ赤い発疹(ほっしん)などが出るケースだ。夏秋さんによると、蚊などの血液凝固を防ぐ物質は有毒ではないが、人の体が「異物」と判断するため、アレルギー反応によるかゆみや赤みが起こる。一般的に、生まれて初めて蚊に刺されたときは無症状だが、何度か刺されると1~2日後に症状が出るようになる(遅延型反応)。繰り返し刺されて幼稚園~小学生くらいの年齢になると、刺されてすぐに出る症状(即時型反応)と遅延型の両方が出る。刺されて症状が出てから1、2時間程度でいったん治まったあと、再び赤みやかゆみ、腫れが数日以上続くケースだ。さらに同じ虫に刺され続けると、最後にはアレルギー反応が出なくなることがある。

 治療は、激しいかゆみがあるときは患部を冷やし、ステロイドの入った塗り薬などを使う。炎症が強ければ抗ヒスタミン剤なども内服する。

 虫刺されのように見えても実は肝疾患や血液疾患、金属アレルギーなど別の病気が原因のこともある。夏秋さんは「原因を推定するために、虫に刺されたと思う場所などを詳しく教えてほしい」と話す。

    ◇   ◇

 命にかかわることがあるのがハチだ。九段坂病院(東京都千代田区)の大滝倫子顧問(皮膚科)は「気分が悪い、息苦しい、体から力が抜けるなどの症状がある場合はすぐに救急車を呼ぶべきだ。全身症状がなくても、複数個所を刺されたら早急に救急外来を受診して」と話す。

 ハチに刺されると有毒物質で痛みや皮膚の赤みが生じ、だんだん膨らみが増す。初めての場合は痛みだけで済むが、2回目以降では、刺された直後よりも2、3日後に症状が最も強くなり、1週間前後で治まることが多い。刺されたら、アウトドア専門店などで販売されている毒吸引器で吸い出し、患部をきれいな水で洗う。「アンモニア水や尿にハチ毒を中和する効果はなく、患部にかけてはいけない」(大滝さん)。口内の粘膜や傷から毒が入り込む危険もあり、口で吸い出すことも避けたい。

 最も心配なのは、血圧低下や呼吸停止などの急性アレルギー反応「アナフィラキシーショック」だ。刺されて7分で死亡したケースもあり、大滝さんは「中高年以上で山林での作業などハチに刺される可能性が高く、かつてハチに刺されて全身症状を起こしたことのある人は、事前に専門医のいる医療機関に相談し、応急処置のための自己注射用エピネフリン注射薬を処方してもらった方がよい」と話す。初めて刺されたときでも、一度に数十匹に刺されると何日も体内にハチ毒が残り、数日後にショックを起こすこともあるので注意が必要だ。

    ◇   ◇

 虫刺されは市販の外用薬で対処することも多い。ケイロン薬局(東京都板橋区)の薬剤師、安部好弘さんによると、地域の薬局の強みは「虫刺され被害が多発している場所や虫の種類などの情報が入ること」。自覚症状や刺されたと思われる状況などを薬剤師に伝えることで原因を絞り込み、適切な対処につながることもある。

 市販薬は抗ヒスタミン、かゆみ止め、消炎、殺菌などの成分の組み合わせ、薬の形状(液体、軟こう、クリーム)の違いによってさまざまな種類がある。薬局では薬剤師などが、かゆみなどの症状の強さ▽過去に刺されたときに症状の悪化が長く続いた経験があるか--などをたずねた上で、適切な薬を勧める。かゆみなどの症状が強い場合はステロイドの入った薬を勧めることもあるが、市販薬には医療用に比べ穏やかなステロイドが使用されている。「市販薬を1、2日使って症状が変わらなかったり悪化した場合は、医療機関の受診を勧めている」(安部さん)という。

 予防策としては市販の虫よけ剤(医薬部外品)が有効だ。主成分の「ディート」は皮膚に対する安全性は確認されているが、鼻や口からの吸入を避けるため、安部さんは「スプレー型の場合、小さな子どもに対しては大人が手に吹き付けた液体を首などに塗ってあげて」と話す。

 

※毎日新聞 2010年6月11日 東京朝刊

卵の卵白たんぱく質が内臓脂肪量の蓄積を抑えることがラットによる実験で分かった。キューピーが5月、日本栄養・食糧学会で発表した。

 ラット24匹を4グループに分け、それぞれに(1)卵白たんぱく質20%とコーン油5%(2)卵白たんぱく質20%とコーン油10%(3)カゼイン(牛乳に多く含まれるたんぱく質の一種)20%とコーン油5%(4)カゼイン20%とコーン油10%--のえさを4週間与えた。

 その結果、卵白たんぱく質を食べたグループはカゼインに比べて内臓脂肪量の蓄積が抑えられた。また、肝臓での脂肪燃焼にかかわる酵素の働きを見ると、卵白たんぱく質を食べたグループのほうが酵素の活性が上がっていることが分かった。肝臓で脂肪燃焼が増えたことが内臓脂肪量を低下させたようだ。

 今回の実験結果は、生活習慣病の予防に卵白たんぱく質を活用できる可能性を示唆している。

 

※毎日新聞 2010年6月12日 東京朝刊

 東京で勝負しようと大阪から上京したものの仕事に恵まれず体調を崩したという、やないさん。明るく前向きな性格でホームヘルパー2級の資格も持つ。「お年寄りと接するのが大好き」と話す姿が印象的だ。

 --なぜ東京に?

 大学を出て大阪で芸能活動をしていましたが、休みに六本木ヒルズに遊びに行き、あまりの人の多さにびっくりしたんです。ああ、みんなここで戦っているんだ、私ももっと挑戦しなければという気持ちになって。テレビのレギュラー番組もあるのに、東京で勝負しようと。23歳の秋でした。

 --つてはあったのですか。

 全然ありません。本業だけでは生活できないので、飲食店のバイトやティッシュ配りもしました。食事はもっぱら安いお弁当。おなかを膨らまそうとパンを水で流し込んだり。1年近くそんな生活をしていたら急性胃腸炎になり、体に湿疹(しっしん)も。大変でした。

 --食生活を改めた?

 はい。食の大切さを痛感したので、今はできるだけ自炊をしています。凝ったものは作れないのですが、野菜炒めをチャッチャと作ったり。カボチャや肉ジャガなど煮物系も多いですね。母に電話して作り方を教えてもらったりしています。

 --体を動かすのは?

 表現力を磨きたくて日舞と社交ダンスを習っています。日舞は足を曲げて低い姿勢で動くので、筋肉を使います。じわじわと汗が出て、見た目以上に体が鍛えられます。同じ踊りでも社交ダンスは表現方法が全く違う。そこを楽しんでいます。

 --オカリナも吹くそうですね。

 1年ほど前から教室に通っています。年配の方が多く、昔話を聞いたりするうちに気持ちが落ち着くのが分かります。背伸びしなくてすむのがいい。人の温かさを感じ、全く違う世界の人たちに刺激をもらっています。

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 ■人物略歴
 ◇やない・ゆき

 1983年、三重県生まれ。関西大の学生時代からモデルやリポーターを務める。上京後、テレビや映画で活躍。今月13日に横浜・サンハートホールで上演される「六月の奇跡」に出演する。
※毎日新聞 2010年6月12日 東京朝刊
長生きの秘訣(ひけつ)は何か。一つは、がんやウイルスと闘う免疫力の維持といってよいだろう。では、どんなライフスタイルが免疫力を上げるのか。「『まじめ』は長寿を縮める 『不良』長寿のすすめ」(宝島社新書)の著者でもある奥村康・順天堂大医学部特任教授(免疫学)が東京都内のセミナーで講演した。そのアドバイスに耳を傾けてみたい。【小島正美】

 「まじめな人ほど早死にする」が奥村さんの持論だ。まじめ過ぎると自分で何でも抱え込み、手が抜けない。小さなことにくよくよし、気持ちの切り替えができない。やがてストレスがたまり、病気になる。つまり、まじめ過ぎると免疫力が落ちる。

 その良い例がフィンランド症候群だ。1970年代、フィンランド政府は比較的裕福な40~45歳の男性1200人を二つのグループに分け、一方は健康管理をしっかり行い、もう一方は何もしないようにし、どちらが病気が少なくなるかを15年間追跡した。

 健康管理をしっかりするグループは定期的に健康診断を受け、血圧の高い人は降圧剤などで治療した。さらに塩分や砂糖、アルコールの摂取を控え、運動も行った。一方、何もしないグループは好きなものを食べ、飲酒や喫煙も自由にした。

 15年後、意外な結果が出た。なんと健康管理をしっかりと行ったまじめグループの方が死亡率が高く、自殺や心臓病なども多かったのだ。奥村さんは「健康管理にあまりにも神経質になると逆効果。いいかげんにやっている方が免疫力が高まったのではないか」と推測する。

 何事もほどほどに楽しみ、気楽に過ごすのがよい。調査結果は忙しい現代人へのそんな戒めかもしれない。

 ■NK細胞

 免疫力を維持する上で大事なのが、NK(ナチュラルキラー)細胞の働きだ。NK細胞はリンパ球の一種で、体外から侵入したウイルスを撃退したり、がん細胞を殺す働きをする。

 人の体内では1日に約1兆個の細胞が生まれ変わり、そのうち5000個前後が、がん化するなど出来損ないの細胞になる。こうした出来損ないを撃退するのがNK細胞だ。NK細胞の働きが高いと、がんになりにくい。

 奥村さんはこれをマウスの実験で確かめた。NK細胞のないマウスを実験用に作り出し、死ぬまでの経過を見たところ、がんが多発することを確かめることができた。動物実験を裏付けるように、人間でもNK細胞の活性が高いとがんになりにくいとの研究報告もある。

 NK細胞の働きは朝起きてから徐々に高くなり、夜11時を過ぎると低くなる。深夜まで起きて仕事をしていると、活性度合いは落ちる。このため奥村さんは「深夜から朝方まで勤務する昼夜逆転の勤務形態は、NK細胞の活性を低くする」と指摘する。あまりにも厳格な生活は良くないが、かといって昼夜逆転の生活も、健康を損なってしまう。

 また、NK細胞は精神的なストレスに非常に弱い。例えば受験生はテスト前になると活性が下がりやすく、風邪をひきやすくなる。こんな時は、細かいことにくよくよしないこと。友達と会って楽しく話し、気晴らしに好きなものを食べ、よく笑う。そんな過ごし方がいいようだ。

 ■R-1乳酸菌

 食べ物でも、NK細胞の活性を上げるとされるものがある。キノコや納豆、ヨーグルトの乳酸菌などだ。

 明治乳業食機能科学研究所の池上秀二研究員によると、R-1乳酸菌を含むヨーグルトをマウスに与えたところ、NK細胞の活性が高くなった。人を対象とした試験も行われている。山形県舟形町と佐賀県有田町で59~85歳の住民計142人に、同種のヨーグルトを1日90グラム、8~12週間食べてもらい、食べない群と比べた。その結果、ヨーグルトを食べた群は食べる前より風邪をひくリスクが低下したことが分かった。

 さらに、インフルエンザウイルスに感染させたマウスに同種のヨーグルトを食べさせた実験では、ウイルスが減るなど感染リスクを低下させる作用もあった。

 池上さんはこのメカニズムについて「乳酸菌とその菌が作り出す多糖類がリンパ球の一種のT細胞に働き、T細胞が作る生理活性物質(インターフェロンガンマ)を介して、NK細胞が活性化するのではないか」と推測する。

 ヨーグルトには腸の働きを整える以外にも、さまざまな効用があるようだ。

 

※毎日新聞 2010年6月12日 東京朝刊

 ◇苦痛なく体内撮影 ミサイル技術転用、8~12時間分の画像解析

 胃や腸など消化器の中の異常を直接カメラで見て診断する内視鏡検査。小さな病変を探し出せる信頼性の高い検査だが、カメラ付きの長い管を口や肛門(こうもん)から入れなければいけないのが苦痛だ。その問題を解消する新しい機器「カプセル内視鏡」の普及が進んでいる。患者の体への負担はほぼゼロ、さらに従来は発見が難しかった病気を見つけられる利点もある。

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 「簡単にのみ込めるカプセル型のカメラがあるといいね」。カプセル内視鏡のアイデアは81年、イスラエルのガブリエル・イダン博士が、知人の医師から聞いたこんな言葉から生まれた。イダン博士はミサイル開発技術者。その技術を転用して、97年にはカプセル内視鏡の原形ができた。翌年、イスラエルに「ギブン・イメージング社」が設立され、01年には米国、欧州で医療機器として認可された。

 日本では大きく遅れて07年10月、同社の小腸用カプセル内視鏡が「原因不明の消化管出血症例」に対して保険適用となった。今年2月には一度に撮影できる面積が2倍以上広くなり、画質も向上した同社の最新モデルが発売された。海外では大腸用、食道用のカプセル内視鏡も開発されている。

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 国立がん研究センター中央病院(東京都)の角川康夫医師(消化管内視鏡科)は月4、5件の小腸用カプセル内視鏡検査を行っている。

 患者は検査前日の夕食後から絶食し、当日は午前8時半に検査スタート。胃と小腸に付着した粘液を取り除く薬を飲んだ後、みぞおちから太もものつけね周辺にかけての8カ所に小さなセンサーを張る。センサーは箱形のデータレコーダー(重さ約500グラム)につながっている。次に直径11ミリ、長さ26ミリのカプセルをのむ。レコーダーは腰に巻き、その後は外来患者なら帰宅も出勤も自由。2時間後からは水が飲め、4時間後からは食事もOKだ。

 カプセル内視鏡は、最新モデルなら1秒間に2回ずつ発光ダイオードで腸内を照らしつつ撮影、センサーを通じて画像をレコーダーに送る。翌日、患者はレコーダーを持って病院に。カプセルは使い捨てだ。

 病院では角川医師がレコーダーから8~12時間分の画像を取り出し、「読影」をする。専門医の目は、5万~8万枚もの画像から小さながんやわずかな出血など病気の兆候を見つけ出す。「日本の『読影』技術は世界でもトップレベルでしょう」と角川医師は話す。

   *

 長さ6~7メートルの小腸は、従来の内視鏡では全体を見ることができず人体の「暗黒大陸」とも呼ばれていた。カプセル内視鏡はその闇を照らす光ともいえる。

 角川医師は最先端医療にもカプセル内視鏡を組み合わせて成果を上げている。白血病など血液がんの患者に行う「造血幹細胞移植」では、移植後に小腸に炎症が起きることがある。移植した細胞が患者の体を攻撃する反応が原因の場合と、ウイルスの感染症による場合があるが、双方の治療方法は正反対だ。そこでカプセル内視鏡で炎症部分を撮影。「原因の違いで炎症の見た目が違う。カプセル内視鏡のおかげで確実な診断が可能になった」と言う。

 一方、同病院では昨年度、日本で未承認の大腸用カプセル内視鏡の臨床研究も行った。角川医師は「肛門から管を入れる大腸内視鏡への抵抗感は、大腸がん検診の受診率が伸びない理由の一つ。痛み、恥ずかしさのないカプセル内視鏡はがん検診にもうってつけでしょう」と話している。【奥野敦史】
 ◇費用約3万円、全国200カ所で

 カプセル内視鏡検査にかかる費用は、カプセル代金と検査料で約3万円(自己負担3割の場合)。検査を受けられる病院は約200カ所あり、「飲むだけドットコム」(http://www.nomudake.com/)で調べることができる。

 

※毎日新聞 2010年6月16日 東京朝刊

KDDIは16日、毎日新聞社と協業で、国内で初めて「au」の携帯電話と連動したランナー向けシャワー施設「Run Pit by au Smart Sports」を7月10日に設立する、と発表した。シャワーやロッカーのほか、女性用のパウダールームも設置。場所は、多くのランナーが集まる皇居が目の前にあるパレスサイドビル(東京メトロ東西線竹橋駅直結)1階で、皇居ランを肌で感じられる施設になっている。

 同施設は、ランニングやウオーキングのサポートサービス「au Smart Sports Run&Walk」と連動。走った距離に応じてたまるポイント制度「Run Pitポイント」により、施設で使える割引券や各種プレゼントと交換できるほか、「Run&Walk」のチーム機能を利用して参加できるイベントも開催する。今後は、auの携帯電話ユーザーを対象にした「皇居ランアドバイス」や、「Run Pit」の利用料金をauの請求書と合算するなど、auの携帯電話と連動したさまざまなサービスを提供する予定という。

 施設内には、シャワー15基 (女子8基、男子7基)、ロッカー122個(女子62個、男子60個)、契約シューズロッカー198個(女子99個 男子99個)があり、女性シャワーブースに個室の着替えスペースを設けたり、広い女性用パウダールームを広く設置するなど「女性に優しい」施設になっている。営業時間は午前7時~午後10時(土、日、祝日は午前8時~午後6時)で、利用料はビジターが1回800円(Run&Walk会員は700円)、シューズロッカーレンタル料が月1700円(同1500円)となっている。

 

※毎日新聞 2010/6/16